この8 欲しい物をくれる友 

私は今、強烈にかなえたい夢とか欲とかが
これといってないったらありゃしません。
長年の夢が漫画家になることと猫を飼うことだったので。
もうね、猫がいて漫画かけるなら何もいらないんですよ。
あ〜あ、言っちゃった。
だから、このブログタイトルにある、「生き残ること」、
「描き続けること」つまり現状を維持することが唯一の、
そして一番大きくてしんどい目標だと思っています。

20代のほとんどを風呂なしアパートですごしましたが、
おかげ様で昨年秋、古いけど快適な部屋に移り住むことができました。
食べ物にはそんなにうるさくないし、お酒も安酒で十分。
ときどき衝動買いもするけど、
おしゃれにもそんなにお金をかけないし、
映画もあまり見ないし旅行は苦手だし、
音楽にも漫画にも詳しくないし読みたい本はやまづみのままだし。
茫漠とした日々です。
穏やかだけどまあ、つまらんといえばごくつまんない生きっぷり。

そんなある日、友人のエスさんからこんな贈り物を頂きました。


その2ポット


これ、月兎印のコーヒーポット。私がずっと欲しかったやつ。

「てめーたった今
なんもいらねーつったばっかじゃねーか!!」

って突っ込みますか?

突っ込みなっせ、思いっきり突っ込みなっせ。ほほほほほ。

ええ、ええ、私もね、気づかなかったんですよ。
忘れてたんじゃなくて、すごーく欲しいとずーっと思っていたことに気づかなかったのです。

エスさんは大変なコーヒー好きで、自宅で自力で焙煎とかしちゃうひと。
私は年季の入ったにわかコーヒー好き。豆やさんで焙煎してもらって家で挽く。
で、
にわかコーヒー好きの私の場合、
やかんでお湯をわかして淹れるのですが、
やかんでコーヒー入れるのってめちゃくちゃ難しいんですよ。
にわかなんだけど、にわかのやることじゃない。
ああ、だからこそのにわかコーヒー好きなのか。

まず、沸騰したらお湯を冷ますのだけど、
熱すぎると香りも味もブチ切れてコーヒーの国に帰ってしまうし(南米か?)、
冷めすぎるとなんかえぐい。
冷めるまでの間、ストレッチしたり生ごみの始末したり呆然としたりと、
適当につぶすのだけど、これがなかなかうまいこといきません。
そんなとき、やかんから月兎ちゃんにお湯を移すことで、
月兎ちゃんがあら熱を吸収してくれて、
ぐっと温度の調節がしやすくなるわけです。

もうひとつ、
やかんでコーヒーを淹れるのを特に難しくさせているのが
「口の太さ」です。
月兎ちゃんの写真を見てください。
注ぎ口がしゅるりと細く、美しいこと美しいこと!
これが、やかんどんの豪快に太い注ぎ口だと、
挽いた豆にぽたぽたとお湯を落として蒸すときに、

「ぼたっ、ぼたたっ、じょぼぼっでごわす!」

と大量に落ちたり、
太い首を伝って、あろうことか
私の足めがけて熱湯爆弾を落としてきたりするのです!

さらにやかんどんでドバドバとお湯を注いで入れたコーヒーは、
なんというか味がぺっちゃんこ。
「コーヒー味のお湯」って感じになってしまいます。
だから、神経を集中して、
ちょろりちょろりとできるだけほそおくほそおくお湯を注ぐ。

そんでやっと、
お口の中にコーヒーの雲がぽわりと浮かぶような一杯ができるのです。

運がよければな!

たぶん私は、おいしく淹れられたときも淹れられなかったときも、
エスさんの家にあるコーヒーポットを思い出していた気がします。
ただ、自分ひとりで楽しむことにお金をかけるのが後ろめたくて、
そういう気持ちは心の奥にしまいがちになってしまったのだと。

そんなときですよ、月兎。
エスさんは、私以上に私の生活を眺めているようなところがあったのかもしれません。
とくに、ご自身がこよなく愛する分野においてだからこそ、
私のコーヒー生活がどうにもいびつなことになっているのに、
私より早く気づいたのかもしれません。

ポットは、和からし色みたいな渋い黄色でした。

エ、エスさん…私の好きな色を完全に把握しておる…

でもほんとは私は、エスさんちにある白い月兎が欲しかった。
いつも眺めていたのがそれだったから。
白の持ち主が、選んでくれた黄色です。
私はこういう幸せな誤算に簡単に感動してしまうので、
もらってからしばらく経っているというのに
コーヒーを淹れるたびにいまだにうるっときてしまって
ちょっと困っておりますよ。











トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://denyakonogoro.blog89.fc2.com/tb.php/5-8220fa62

skin presented by myhurt : BLOG | SKIN
ホームページ アフィリエイト レンタルサーバー  FC2ブログ
copyright © 2005 でんやこのごろ 〜イシデ電ブログ〜 all rights reserved. Powered by FC2ブログ