この60 ミラクルな夜 

友人の結婚式が終わって、またいつもの漫画漫画な日々です。

起きたら、お話をつくる作業、日が暮れたら家の近所で少し編集さんと打ち合わせをして、
帰宅してビールを飲みながら仕事の続きをして就寝、
というスケジュールを繰り返す毎日。

昨日もそんな感じのはずでした。

夜、ついお話作りに夢中になってしまい、
打ち合わせに遅刻して、化粧もせずに大慌てで到着。
簡単に打ち合わせを終えた後、ごはんでも食べていきましょうかというお話になりました。

私はこういう、想定していなかったことが起こるのは大好きで、
行きましょう行きましょうと調子よく喫茶店を出ました。

編集さんおふたりと、
それと「もうひとり外で待っているんだけど…」という方のもとへ向います。
「編集さん仲間かな???女性かな?男性かな?
もうちょっとマシな服着てくれば良かったなー」なんて思いながら
ひょこひょこ後をついていくと、待っていたのは
スウェット姿のおじいちゃん。

え……

よくわからないけどまあいいや、と、引っ越してきて間もない私は道々、
おじいちゃんにこの町のおいしいお店の話などを聞きながら移動を続けました。

街は連休前の金曜日の夜。
どのお店も軒並みごった返していてなかなか入れません。
ふいに編集さんが、「居酒屋○○」にしようか、というと、
そうしようそうしよう、セブンイレブンでなんか買っていこう、とおじいちゃん。

え?居酒屋にセブンイレブン?持ち込み?何?どういうこと?
?マークを頭の周辺にいくつも散りばめながらタクシーに乗り込みます。

「仕事場で飲みましょう」

え?仕事場ってまさか……

え?え?え〜〜〜!?

スウェットじいさんの正体は、
100回卒倒して後頭部強打しても足りないぐらいの
超・大・大・大・大御所漫画家先生なのでした。
ギャッ!

その先生の?お仕事場に?向ってるんですか私いま!!!???
あ〜れ〜
タクシーワンメーターで到着したお宅は、なんと私の住所地と同じ町名。
先生5丁目私2丁目。

こ、ここが「居酒屋○○(先生のお名前)」…

聞くとこんな調子で先生のお宅には、しょっちゅう誰かしらが飲みに来ていて、
ついこの間は、選挙に立候補したとあるふたりと3人で飲んだとか。
(それは…対立候補というのでは…?)

編集さんも我が家のようにさくさく2階へ。
私は矢も盾もたまらず(使い方あってるのかな、この言葉…)
「おおおおおお仕事部屋、み見させていただけませんか!?」とずうずうしくお願いし、
年季のはいったお仕事机や、アシスタントさんのお仕事部屋を拝見しました。

先生の漫画歴は、どっしり半世紀!
私がものの本などで見聞き(?)してきた
漫画の歴史のあれこれを、当然リアルに体験されていて、
手塚先生や赤塚先生や石ノ森先生や藤子不二雄先生やアノ先生やコノ先生の
若き日の(トンデモ)話を面白おかしく聞かせてくださいました。

もう、「まんが道」の世界がカラーで立体化というか実体化するような
鮮やかでみずみずしくて、ぎょっとするほどいたずらっ子な漫画青年たちの物語。

わーん、こんなおもしろい話、私だけ聞いちゃうのもったいなさすぎる!
あのひとにもこのひとにも電話して呼び出して、一緒に聞きたいよー!
と、ほんとに泣きたくなるぐらい面白かった!!

ほかにも落語の話や野球の話や、いろいろいろいろ楽しいお話を聞いて、
「こんなのどこに売ってるの??」な面白い物を見せてもらったり、
突っ込むのを必死でこらえながらの手品を見せてもらったり、
それに、とっっても上等な焼酎を大きなグラスでざぶざぶ飲んで(も、もったいねえ〜!)
死ぬほど笑いました。

結局夜中の2時ぐらいまで飲んでへらへら笑いながら帰宅。
ああ、すっぴんで慌てて喫茶店に向ったのが3年ぐらい前に思える…
面白すぎるよ、人生。

それにしても、漫画かきすぎて漫画そのものになってしまったような御仁でした。
また遊びにいきたいな、「居酒屋○○」







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